森林立地
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和歌山研究林における森林土壌微生物群集の機能を測定するエコプレート実験の測定条件の検討
寺田 千里中村 誠宏朱 詩瑶井口 光高木 惇司松井 一彰柴田 英昭
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2022 年 64 巻 2 号 p. 83-90

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抄録

炭素は微生物の増殖に関わる重要な元素であるため,炭素基質の利用に関わる機能(機能の多様性と多機能性)の違いは土壌微生物群集を特徴づける指標となる。土壌微生物群集の機能の多様性と多機能性を評価するために,群集レベルでの炭素基質利用機能の生理的プロファイリング法(CLPP:Community level physiological profiles)が用いられている。森林の土壌微生物群集の機能を測定するCLPP手法の一つとして,BIOLOGTM社が開発したエコプレートがある。本研究では,森林土壌を扱ったエコプレート実験を始めようと考えている様々な立場の方々(高校教員,大学生,一般市民,研究者)に,参考となる測定条件の情報を提供することを目的とした。参考となる土壌深度,希釈倍率,風乾期間,吸光度の測定期間を解明するために,和歌山県の典型的な照葉樹二次林の褐色森林土を使って異なる測定条件でエコプレート実験を行った。その結果,本調査地においては表層から10 cm程度の土壌層から土壌を採集して,風乾はせずに(やむを得ない場合,測定まで4 ℃程度の冷蔵庫で保管),抽出液は50倍,100倍,200倍の希釈倍率の間で,吸光度の測定は10~14日間かけて実施することが,土壌微生物群集の機能の多様性と多機能性を正確に評価できる妥当な条件であることを示した。

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